相続開始後の主な手続きの流れについて

 
 相続開始後の主な手続きの流れは次のようになります。特に手続きをするまでに期限があるもの相続をするかしないかの決定(※1限定承認・相続放棄の検討)については速やかな

行動をとる必要がありますので注意してください。

※1 限定承認とは、簡単に説明すると、亡くなった被相続人の財産(プラスの財産とマイナスの財産)を清算し、プラスの財産の方が多い場合は、余った財産のみ相続し、マイナスの財産がプラスの財産を超過してしまった場合、マイナスの財産は相続しないという相続の方法をいいます。

               単純承認・限定承認・相続放棄についての知りたい方はこちら


 相続開始=被相続人の死亡
   ↓
 遺言書があるか否かの確認
   ↓
 ■  遺言書がある場合
   ● 自筆証書遺言は、速やかに家庭裁判所で検認を受ける。
   ● 公正証書遺言はそのまま手続き可能。
   ● 秘密証書遺言は、速やかに家庭裁判所で検認を受ける。
   ↓
 自筆証書遺言および秘密証書遺言は、家庭裁判所で遺言書の開封(検認手続きのこと)を行う。

 ☆ 自筆証書遺言とは、お亡くなりになった方がすべて自筆で書いた遺言であり、秘密証書遺言とは遺言者自身のみ知りうる内容の遺言を公証役場で認証されたものです。出てきた遺言がどの種類の遺言かは、どなたが見てもわかります。

 
 ■  遺言書なしの場合
 相続財産をすべて確認する。場合によっては、財産目録を作成する。相続財産を確定した後、法定相続人が誰であるかを戸籍取得の上確定する。相続人の関係がわかる書類(相続関係説明図)作成。
 借金(保証債務を含む)がある場合は、相続開始を知ったときから3か月以内に、相続するかしないかを決める。
   
選択肢    相続する  
        相続放棄する(マイナス財産が多い場合など)
        限定承認する(相続財産がはっきりしない場合など)
 
 相続放棄・限定承認手続きは相続開始後3か月以内に手続きを取らなければいけません。3か月以内にそれらの申請ができない場合は、熟慮期間伸長申し立てをして、3か月の期限を引き延ばしにするよう家庭裁判所に申請する。

※ 遺言書があった場合でも、遺言書の中に書かれていない財産があれば、その財産は遺産分割の対象になるものです。

   ↓
 遺言がある場合は、遺言に基づく遺産分けが行われる。<遺言は遺産分割に優る>
 遺言がない場合は、相続人全員でどのような遺産分割にするか協議する。協議が整ったら、遺産分割協議書を作成する。
   ↓
 相続財産の名義変更(不動産・預貯金など)
   ↓
 被相続人が今まで確定申告をしていた方は(自営業者など)、相続開始から4か月以内に準確定申告をする。
   ↓
 相続税の申告は相続開始から10か月以内にする。相続税がかからない人は申告しなくてよい。納税の必要のある方は、税理士や税務署に確認を取りながら申告をする。


 ■ 相続開始後のその他の手続き・確認事項 ■

  ・臓器提供意思カードがないかの確認
  ・献体登録していないかの確認
  ・死亡届の提出(市町村役場、7日以内)
  ・死体火葬許可・埋葬許可を市町村役場でもらう
  ・世帯主変更届(市町村役場14日以内)→健康保険の手続きと一緒に行う。
  ・姻族関係終了届(市町村役場)→義父母兄弟との親族関係を切りたい場合必要。
  ・復氏届(市町村役場)→婚姻前の氏に戻したい場合。
  ・子の氏の変更許可申し立て(家庭裁判所)
  ・運転免許・シルバーパスの返却、クレジット会社・携帯電話会社等への連絡
  ・葬祭費・埋葬料受給手続き
  ・高額療養費の支給申請(市町村役場)
  ・生命保険金請求手続き
  ・年金関係の手続き→年金証書や年金手帳を持って社会保険事務所へ。
                              
                                         など多数。
  

財産を相続する権利のある人とは?(相続人・受遺者・特別縁故者)

 
 人が亡くなると、その人が持っていた財産は相続人に引き継がれます。法律では、亡くなった人のことを被相続人(ひそうぞくにん)と呼び、財産を引き継ぐ権利のある人を相続人と呼びます。

 被相続人と相続人を逆の意味で捉える方がいるので間違えないようにしてください。

 それでは具体的に相続人についての説明をします。

 
 [配偶者の相続権]

 被相続人が亡くなった時点で、生存配偶者がいればその配偶者は他の相続人(子や親や兄弟姉妹)とともに相続人になります。つまり、被相続人の配偶者には一部例外を除いて、常に相続権があるということです。離婚した元配偶者には相続権がありません。また、内縁関係にある配偶者も、法律に基づく配偶者とは言えない者として相続権を否定されています。(判例による)



 [子の相続権〜その1〜]

 被相続人に子供がいれば、その子は相続人になります。被相続人に配偶者がいれば、子はその配偶者とともに相続人になります。被相続人と養子縁組している養子は、実子と全く同じ相続権を持ちます。 

 被相続人が過去に再婚しており、前配偶者との間に生まれた子も相続人です。離婚時に子の親権を離婚相手に与えていたとしても関係がありません。そのほか、被相続人と婚姻関係にない相手との間で子を設けていた場合(法律用語では非嫡出子「ひちゃくしゅつし」と呼ばれる)、被相続人がその子を生前に認知もしくは遺言によって認知していれば非嫡出子にも相続権が発生します。

 あまりない例ですが、被相続人が死亡した時点で、配偶者(妻)が懐胎していた場合、その赤ん坊が生きて生まれてくれば、その赤ん坊にも相続権があります。

 私の事務所でよくある相談は、未亡人の方から、「亡くなった夫が再婚者で、前妻との間に子がいるのだけれどもどうしたらよいか」という相談がかなりあります。他に、知らない養子が戸籍から出てきたなどの相談も多いです。複雑な事情を抱える相続問題については、一度専門家に相談されることをお勧めします。



 [子の相続権〜その2〜]

 前の記述(子の相続権その1)で、子の相続についてはだいたい理解できたと思いますが、ではその子が被相続人よりも先に死亡しており、その子にさらに子供がいた場合を考えます。

 もっと簡単に言うと、被相続人の孫にも相続が発生する場合を考えます。

 被相続人の孫に相続が発生する条件は、被相続人よりも先に自分の子が亡くなっており、かつ、その子に生きている子供がいることが必要です。専門用語で、これを代襲相続(だいしゅうそうぞく)といいます。

 一番シンプルな例をあげますと、
  
 被相続人      平成18年1月1日死亡

 被相続人の子   現在も生存している  
         
             平成17年1月1日死亡 丙には子が1人いるものとする。

 この事例の場合、相続人は誰になるかわかりますか?

 被相続人の下の世代だけを考えると、相続する権利のあるひとは、乙と丙の子の二人になります。

 代襲相続は被相続人の下の世代の場合、ずっと下の世代まで代襲されますので、先の例で、乙は健在・丙と丙の子が被相続人よりも先に死亡・丙の子にさらに子がいる場合(つまり丙の孫・被相続人のひ孫)、相続人は乙と丙の孫というようなルールになっています。

 このように、代襲相続といわれる相続のルールを理解している方は、案外あまりいませんので注意が必要です。もし、相続人になる人が具体的にわからないという方は、一度当事務所にお問い合わせください。

 代襲相続のルールについて無料相談を受けたい方はこちら



 [親の相続権]

 それでは、次に、被相続人の親の代に相続が発生する場合を考えます。まず、重要なことは、被相続人に子供や孫がいる場合は、原則的に親の代に相続権が発生することはありません。相続のルールでは、相続人の地位に順位が定められており、親は子に次ぐ第2番目の順位になりますから、被相続人に子や孫がいる場合は、親の代には相続権が回ってきません。現実問題として、お亡くなりになる方の平均年齢が80歳前後ですから、被相続人の親がご健在であることはあまり多くありません。

 被相続人に子や孫(下の世代)がいなく、配偶者と親がいる場合は、その配偶者と親が相続する権利を持ちます。配偶者がいる場合、配偶者は他の相続人と同順位とされますから注意してください。
 
 子の相続その2で述べた代襲相続は親にはありませんが、被相続人に子がなく、かつ、両親とも死亡していて、父方もしくは母方のいずれかの祖父母が1人でもご健在の場合、その祖父母に相続権が回ってきます。



 [兄弟姉妹の相続権]

 被相続人の財産を兄弟が相続する場合について考えましょう。被相続人の兄弟姉妹に相続が発生する要件は、被相続人に子や孫の直系卑属、親などの直系尊属も存在しないことが必要です。

 兄弟姉妹の相続順位は、第3番目になります。被相続人自身が未婚であったり、結婚はしていたものの子に恵まれなかったケースは兄弟姉妹に相続権が発生することが多くなります。

 なお、被相続人のすでに死亡している親が再婚等で、その親が離婚前の配偶者との間に子を設けていた場合(異父母兄弟)、その子も被相続人の兄弟姉妹として相続権を持ちます。つまり、半血の兄弟にも相続権があります。



 [甥・姪の相続権]

 兄弟姉妹に相続権が発生する方には注意して読んでいただきたく思いますが、被相続人に子や孫(下の世代)、親(上の世代)がいない場合は、兄弟姉妹に相続する権利が与えられますが、それと同時に被相続人の甥や姪に当たる方が相続するケースも多く見受けられます。

 甥・姪が相続する要件は、被相続人の兄弟姉妹が相続人になるケースで、その兄弟姉妹のうち、被相続人よりも先に亡くなっている兄弟姉妹がおり、なおかつ、その亡くなっている兄弟姉妹に子がいる場合です。

 つまり、兄弟姉妹が相続人になるケースでも代襲相続のルールが適用されるということです。

 被相続人が亡くなる頃には、その方もある程度の年齢を重ねており、被相続人の兄弟姉妹もそれに応じて高齢であることが考えられますので、兄弟姉妹の方でも被相続人よりも先にお亡くなりになる方が現実的に多くなります。そして、すでに亡くなった兄弟姉妹の方に子がいれば、その子も相続人になるというわけです。

 こんなパターンを考えてください。

 相続人の組み合わせ

 ○被相続人の配偶者
 ○被相続人の現在生存している兄弟
 ○被相続人のすでに亡くなっている兄弟姉妹の子

 このような組み合わせで相続が起こる方もいらっしゃいます。甥・姪にしてみれば、突然叔父さん叔母さんの財産を相続する権利があるといわれればびっくりするでしょうが、これも相続におけるルールであるのでそのような権利のある人を無視することはできません。



 [受遺者への遺贈・遺言による贈与]

 被相続人が自分の死後の財産をだれだれに相続させる(遺贈する)という遺言書を遺していた場合、その遺言書に書かれた人は被相続人の財産を取得できます。

 一般的に、遺言によって財産の引継ぎを受ける人を受遺者(じゅいしゃ)と呼びますが、これは本来の法定相続人以外の者に財産を相続させる場合に使われる言葉です。本来の相続人に対して、遺言により財産を相続させる場合は受遺者とは呼びません。

 ここで覚えておきたいことは、遺言があればどんな人に対しても財産を譲ることができるということです。公益法人や各種団体などに対しても財産処分をすることができます。

 このことは、配偶者・子・親・兄弟姉妹のような法律によって定められている相続人(法定相続人といいます。)の財産を相続する権利を奪ってしまうとても強い効力がありますので、本来財産をもらう相続人も、被相続人の死後、きちんと故人が遺言を遺していないかの確認をする必要があることを意味します。

 しかし、法定相続人にはもともとの相続権自体残されていますから、被相続人の遺言によって、相続人以外の第三者に全て財産移転をされてしまったときにでも、遺留分(いりゅうぶん)という権利を使い、相続財産の一部を相続する権利は残されます。その権利のことを遺留分権(いりゅうぶんけん)といい、その権利を行使できる人を遺留分権利者(いりゅうぶんけんりしゃ)といいます。

 遺留分権利者は、法定相続人のうち、被相続人の下の世代(子・孫など)と上の世代(親・祖父母)および配偶者にあります。兄弟姉妹には遺留分がありませんので注意してください。甥・姪にも遺留分はありません。

 ちょっと難しい言葉がでてきましたが、法律のルールですので最低限覚えておく必要があります。



 [特別縁故者への財産分与]

 きわめてレアケースではありますが、特別縁故者(とくべつえんこしゃ)への財産分与という、まったく相続権自体のない者への財産分与制度があります。法律用語で、被相続人と生前特別な縁故があった者のことを「特別縁故者」といいます。

 特別縁故者への財産分与を利用する場合、まず、被相続人に身内が一人も存在しない(法定相続人なし・遺言書による受遺者なし)ことが必要です。相続人の存在を一人も確認できないことを認めてもらうため、家庭裁判所にその旨を申し立てます。(相続財産管理人の選任)
 
 特別縁故者への財産分与申立ての前提として、ただ単に相続人が一人もいないことだけでは足りず、特別縁故者の候補者には、被相続人と生前特別な縁故があった者(被相続人と生計をともにしていた・被相続人の療養看護をしていたなど)という要件が必要であるので、自分で「私は生前あの人に尽くしていた」と思っても、家庭裁判所によって認めてもらわなければ特別縁故者にはなりません。

 特別縁故者になりうる人の事例として多いのが、事実上の配偶者(内縁の妻など)や事実上の養子(養子縁組をしていないが、生前一緒に生計を立てていた)でしょう。病院や市町村が特別縁故者になることもあるようです。

 当事務所にも一度だけこの事例を扱った経験がありますが、ほとんどの場合、法定相続人が存在するため、これから何度も扱うことはないと思います。もし、このようなケースに当てはまる方がおりましたら、専門家にご相談されることをお勧めいたします。

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法定相続分について(遺産分割の基準となる遺産取分割合)

 
 人が亡くなれば大抵、何らかの財産なり遺品が残されますが、それを相続人間で分ける場合、どのような分け方をすればよいのか判断に迷うところです。

 相続する場合のルールを定めた民法は、各相続人が遺産に対してどれくらいの権利を持つのかということを定めています。これを法定相続分といいます。

 ただし、「法定相続分」という規定が民法上定められているとは言っても、必ずこのように遺産分割する必要はありません。法定相続分に必ず従うとすれば、不公平な遺産分割になるケースも多いので、「法定相続分」はあくまで遺産分割の基準になるというだけです。
 
 それでは法定相続分についてわかりやすく説明します。だれが相続人になるのかわからない方は、「財産を相続する権利のある人とは?」のページで確認してみてください。

 
 個別の事例で説明しましょう。

     
 ■ 相続人が配偶者・子のケース

 被相続人に配偶者と子がいる場合、その配偶者は全体の遺産に対して2分の1の相続分(権利)を持ちます。

 被相続人に配偶者のほかに子がいる場合、子は配偶者と同じく2分の1の相続分を持ちます。ただし、子が2人以上いる場合は、その2分の1をさらに人数分で分けます。子が2人の場合は、2分の1×2分の1=4分の1ですね。人数に応じて、 ×3分の1(子3人)、 ×4分の1(子4人)…というように計算すれば、子の人数に応じた相続分の計算ができます。

 「もし被相続人が1000万円の財産を遺していた場合」
  
   配偶者は1000万円×2分の1=500万円

   子が2人の場合
    子Aは1000万円×4分の1=250万円
    子Bは1000万円×4分の1=250万円

 
 このようになりますね。配偶者は必ず一人しかいませんから簡単ですが、子は複数入る場合が多いですので、きちんと計算しましょう。



 ■相続人が子のみのケース

 それでは、被相続人に配偶者がいなく、子のみの場合について考えます。もともと配偶者がいれば、その配偶者には全体の2分の1の相続分が与えらますが、その当事者がいないのですから、その相続分はそのまま子に引き継がれます。

 つまり子には遺産全体に対して1分の1、つまり全財産を相続する持分が与えられます。ここでももちろん、子が2人以上いる場合には、その人数に応じて相続分が変わります。

 「もし被相続人が1000万円の財産を遺していた場合」
  
   子が2人だとして、
    子Aは1000万円×2分の1=500万円
    子Bは1000万円×2分の1=500万円

   子が3人なら(端数切捨て)
    子Aは1000万円×3分の1=333万円
    子Bは1000万円×3分の1=333万円
    子Cは1000万円×3分の1=333万円
                                  のようになります。



 ■相続人が配偶者のみのケース
 
 ケースとしてあまりありませんが、相続人が配偶者のみで、ほかに子や親・兄弟姉妹がいない人の場合は、配偶者がすべての相続権を持ちますので、法定相続分は1分の1ということになります。



 ■相続人が配偶者と親のケース
 
 被相続人に子がなく、配偶者とご健在な親がいた場合について説明します。まず、それぞれの法定相続分は、配偶者が3分の2、親が3分の1となります。このとき、両親ともご健在な場合は、その3分の1を2人で分けますから、計算式は
      
      3分の1×2分の1=6分の1となります。

  「もし被相続人が1000万円の財産を遺していた場合」
  
   配偶者は1000万円×3分の2=666万円(端数切捨て)

   ●親が1人だけご健在の場合
    ご健在な親 1000万円×3分の1=333万円

   ●両親ともご健在の場合
    父は1000万円×6分の1=166万円
    母は1000万円×6分の1=166万円     となります。



 ■相続人が親のみのケース
 
 このケースは、被相続人が若いときに亡くなった場合によくあるケースと言えるでしょう。これも、子だけが相続人になったケースと同じ考え方で、相続財産全体をご健在な親で均等に、もしくは単独で相続することになります。親が1人だけご健在であれば、その親は単独で被相続人の財産を相続しますので、法定相続分は1分の1、両親ともご健在であればそれぞれ2分の1づつの法定相続分になります。



 ■相続人が配偶者・兄弟姉妹のケース

 まずは法定相続分について。このケースでは、配偶者が4分の3、兄弟姉妹は4分の1となります。兄弟姉妹は複数いれば、その人数分で相続分を分け合います。つまり、兄弟姉妹が2人であれば、それぞれ、4分の1×2分の1=8分の1となり、3人であれば、4分の1×3分の1=12分の1という計算式になっていくわけです。

 「もし被相続人が1000万円の財産を遺していた場合」
  
   配偶者は1000万円×4分の3=750万円

   兄弟姉妹が2人の場合
    兄弟姉妹Aは1000万円×8分の1=125万円
    兄弟姉妹Bは1000万円×8分の1=125万円



 ■相続人が兄弟姉妹のみのケース

 このケースも単純に、全体の相続財産を兄弟姉妹で均等に分け合います。2人の兄弟姉妹であれば、法定相続分はそれぞれが2分の1づつ、3人いればそれぞれが3分の1づつになります。簡単ですね。ただし、兄弟姉妹が相続人になるケースでは、代襲相続が絡んでいることが多いので注意してください。



 ■相続人が配偶者・兄弟姉妹・甥姪のケース

 これは代襲相続が絡んでいるケースです。配偶者の法定相続分は4分の3となり、兄弟姉妹は4分の1ですが、被相続人よりも先に亡くなっている兄弟姉妹がいれば(なおかつその兄弟姉妹に子がいれば)、甥姪にその相続分が代襲されます。言葉でいうと難しいので事例を出します。

 「もし被相続人が1000万円の財産を遺していた場合」
  
   配偶者は1000万円×4分の3=750万円

 ☆兄弟姉妹が2人いて、そのうちの1人が被相続人よりも先に亡くなり、かつその先に亡くなっている兄弟姉妹に子が2人(甥姪)いた場合
    
 健在な兄弟姉妹は1000万円×8分の1=125万円
    
 ●すでに亡くなっている兄弟姉妹の子A(甥)は、    
     1000万円×8分の1×2分の1=62万円(端数切捨て)

 ●すでに亡くなっている兄弟姉妹の子B(姪)は、    
     1000万円×8分の1×2分の1=62万円(端数切捨て)

 この計算式から、間違えないでいただきたいのは、健在な兄弟と甥姪を均等にするのではなく、あくまで甥姪は、すでに亡くなっている自分の親の相続分8分の1を2人で分けることになるということです。兄弟姉妹の法定相続分4分の1を、この事例で3人で分ける計算式にすると、それぞれが12分の1になりますから、結果が変わってきてしまいます。注意してください。



 ■相続人が甥姪のみのケース

 兄弟姉妹のみが相続人になるケースと全く同じです。法定相続分は人数分で均に分けます。甥姪の下の代には、代襲相続は起こりません。



 ■相続人が兄弟姉妹・甥姪のケース

 相続人が配偶者・兄弟姉妹・甥姪のケースのところで述べました、配偶者の法定相続分4分の3が、そのまま兄弟姉妹・甥姪に回ってくるとして計算します。

 
「もし被相続人が1000万円の財産を遺していた場合」
  
 兄弟姉妹が2人いて、そのうちの1人が被相続人よりも先に亡くなり、かつその先に亡くなっている兄弟姉妹に子が2人(甥姪)いた場合
    
 健在な兄弟姉妹は1000万円×2分の1=500万円
    
 ●すでに亡くなっている兄弟姉妹の子A(甥)は、    
     1000万円×2分の1×2分の1=250万円

 ●すでに亡くなっている兄弟姉妹の子B(姪)は、    
     1000万円×2分の1×2分の1=250万円



 ■相続人が配偶者・甥姪のケース

 相続人が配偶者・兄弟姉妹のケースと同じ計算式にて法定相続分を計算してください。


 ここまで法定相続分について述べてきましたが、もし計算式がわからない場合は、お気軽に当事務所までご相談ください。

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相続開始後3か月以内に決める事〜単純承認・限定承認・相続放棄

 
 □ 単純承認・限定承認・相続放棄について 
 
 相続が開始されれば、相続人は被相続人が残した財産を相続できますが、相続財産の中にはプラスの財産だけではなく、マイナス財産=負債、借金などがある方もいらっしゃいます。原則的に、相続人はそれらの負債も相続しなければいけませんが、相続が開始されたことを知ったときから3か月以内に「相続を放棄する」旨を家庭裁判所に申し立てれば、それらの負債を負わなくてよくなります。

 また、被相続人の財産をはっきりと把握できなく、プラスの財産とマイナスの財産が混在し、もしかするとマイナスの財産のほうが多くなると思われる方は、限定承認という手続きを家庭裁判所に申し立てましょう。限定承認とは、相続で得た財産の範囲内で負債を負うが、相続で得た財産よりも負債のほうが多くなってしまった場合は、はみ出た負債を負わないという手続きです。逆に、プラス財産とマイナス財産を清算し、プラス財産のほうが多くなれば、プラスのはみ出た財産を相続できます。限定承認手続きも、相続が開始されたこと知ったときから3か月以内に手続きをします。

 相続放棄の申し立ては、相続人それぞれが単独で申し立てできますが、限定承認の申し立ては、共同相続人全員が手続きに参加しなければいけませんので、少々面倒です。

 相続の放棄に関しては、相続する順位の高いものから順次していきます。もし、被相続人に子と配偶者がいた場合、その子と配偶者が相続放棄をすれば、相続第2順位の親に相続権が回ってきますので、子と配偶者が相続放棄を受理され、自分が相続人であることを知った時から、その親も相続放棄することができます。

 ここまで相続放棄限定承認について説明してきましたが、相続の仕方にはもうひとつ、単純承認というものがあります。単純承認とは、被相続人の財産を無限に相続するということであり、何の手続きをしなくても、相続が開始されたことを知ったときから3か月が経過すれば自動的にその効果が生じます。

 また、相続人が何らかのプラス財産を一部相続したり、マイナス財産を今後支払う旨意思表示をすれば、それだけで単純承認の効果を生じます。ということは、きちんと相続財産を調べ上げた上、相続するかしないかを決めなければ、後になって負債が出てきた場合に困ることになります。

 「不動産を相続した後に、借金がたくさんでてきた」
 「預金の一部を相続した後に、後になって調べたら借金がたくさんあった」
 このようなことにならないよう、相続開始後、被相続人にはどのような財産があるのかきちんと調べなければいけません。

 

 □ 3か月以内に上記の承認事項を決めれないときの対処方 

 単純承認・相続放棄・限定承認は、相続が開始されたことを知ったときから、原則3か月以内にしなければいけませんので、49日法要を待ってから行うと少々手遅れになることがあります。法律は、どうしてもそれらの承認を3か月以内にできないときのため、家庭裁判所に「熟慮期間伸長の申し立て」をすれば、その期限を引き延ばすことができるとしています。

 「相続財産を調べ上げたが、どうしても一部はっきりしない部分がある。」こんな方は、3か月の期限を引き延ばししてもらうよう、家庭裁判所に申し立てをしてください。 

遺産分割の方法について(現物分割・代償分割・換価分割)

 
 相続は、相続人全員の同意つまり遺産分割協議がなければできないため、協議の際、どのように遺産分割すればよいのか判断に迷うことがあります。(遺言があればこのようなことはなく、原則、遺言のとおりに遺産を処理することになります。)

 相続財産が不動産しかない場合、それを相続人の一部の人が単独相続するのか、共有にするのか、売却して現金を共同相続人間で分けるのかなど、遺産分割の方法はたくさんあるわけです。

 遺産の分け方は主に次の3つの方法があります。その3つについて、それぞれのメリット・デメリットを述べながら説明致します。



 □ 遺産分割方法〜その1〜 現物分割による遺産分割 □

 現物分割による遺産分割は、一般的によく行われる分割方法といえます。不動産はAに、預金はBに、その他の財産はCにというように、どの相続財産を誰が相続するかを現物によって決める方法です。
 やり方は簡単ですんなり相続できる方法ですが、相続人間で不公平が生じる可能性もあります。不動産は1億円の価値があるが、その他の財産はそれよりも下回る財産しかない場合、現物によって遺産分けを行うと、不動産を単独相続する人に有利に働いてしまう怖れがあります。そんなときは、不動産は共有名義にして、その他の財産を法定相続分で分割するというような方法をとることもできます。


 
 □ 遺産分割方法〜その2〜 代償分割による遺産分割 □

 代償分割は、一部の相続人が相続財産を法定相続分以上に多めに相続し、そのために不公平が生じた部分について、多めに相続したものが他の相続人に金銭を引き渡す方法です。

 この方法によって遺産分割を行うには、代償金を支払う相続人に場合によっては多額の金銭がなければできません。不動産を単独相続したものが、ほかの相続しなかったものへ金銭を引き渡すなどが例として挙げられます。相続財産が不動産しかない場合に、その不動産は入らないが現金を相続したい相続人にとっては、この代償分割が適切かと思います。



 □ 遺産分割方法〜その3〜 換価分割による遺産分割 □

 換価分割は、たとえば、不動産のみが相続財産である場合、その不動産を処分(売却)して、売却益を相続人間で分ける方法です。有価証券も売却できる財産ですから、換価分割による方法を取れるでしょう。

 換価分割でのデメリットは、売却時に譲渡所得税が課税されたり、処分に費用がかかる点でしょう。どうしても売却できるものは売却して、現金で遺産分けを行いたい方にはこの方法がベストといえます。
 

〜相続権の剥奪・相続欠格、相続人廃除について〜

 
 法律上、被相続人の財産を相続する権利のある者(相続人)や受遺者は、よほどのことがない限り、その相続権や財産を譲り受ける権利を否定されることはありません。ただし、一定の事由があれば、そのような権利を否定されることがあります。これを相続欠格といいます。相続欠格になる場合として、法律の定めは次のように規定されています。

 民法891条より

一、故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者

二、被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りにあらず。

三、詐欺又は脅迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者。

四、詐欺又は脅迫によって、被相続人が相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者。

五、相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者。

 このような事由が相続人・受遺者にあれば、被相続人に関する相続権や財産を譲り受ける権利を否定されます。相続欠格には特別な手続きはありませんので、先の事由に該当すれば、当然に権利を失うことになります。


 つぎに相続人廃除について詳しく説明しましょう。相続人廃除とは、暴力・虐待・侮辱など被相続人に対して著しい非行を犯してきた「遺留分を有する推定相続人」の相続権を、被相続人の意思によって剥奪することをいいます。
 
 相続人廃除は、つぎの2つの方法により行うことができます。


 ■相続人廃除方法〜その1〜

 家庭裁判所に対して、相続人廃除の申立てをする。必ずしも裁判所が廃除を認めるとは限らないが、一定の事由があれば廃除が認められ、廃除された相続人は相続権を失う。



 ■相続人廃除方法〜その2〜

 遺言によって相続人の廃除を行う。遺言の場合、相続させたい人にだけ財産を相続させることが可能だが、兄弟姉妹以外の相続人には遺留分と言われる最低限の遺産取り分があるため、遺留分も剥奪させたい場合は相続人廃除の方法を取るしかない。また、遺言による相続人廃除は、「遺言執行者」といわれる遺言内容を実現する者を遺言の中に定めておく必要がある。

被相続人に対して特別な貢献をした相続人(寄与分制度)

 
 生前、被相続人に対して長期の介護療養をしたり、面倒を見ていた相続人は、被相続人の死後、「相続財産は他の相続人よりも多めに相続したい」と考えるのはごく自然なことと言えるでしょう。

 何十年も介護をしてきた相続人とまったく被相続人に対して関心がなく、援助等をしてこなかった相続人を比較すれば、当然前者の相続人がいくらかでも多めに相続するのが当然です。しかし、いざ遺産分割協議になると、「それとこれとは別問題」といわんばかりに、遺産分割協議が難航し、最悪のケースでは骨肉の争い、そして裁判沙汰になる方もいます。

 大事なのは譲り合いの精神です。相続人同士は今後もなにかと付き合いが生じてきますし、このようなことで争うことは恥ずべきことです。お互い権利主張したいことはあるかと思いますが、あくまで譲り合いです。そして、相続に関しては部外者が口出しすることがよくありますので、部外者は除いて、法定相続人同士で話し合いを進めたほうがよいと思います。

 生前亡くなった方に対し、多くの貢献をしてきた方には、法律上寄与分といわれる権利が認められています。それではこの寄与分について詳しく説明したいと思います。

 
 ■ 寄与分が認められるための要件 ■

 ・生前、被相続人の事業に関し、労務の提供または財産上の給付をしたこと。

 ・生前、被相続人への療養看護その他の方法によって、被相続人の財産の維持または増加に特別の寄与をしたとき。


 この2点のいずれかに当てはまる貢献者(相続人)は、寄与分を認められる可能性があります。



 ■ 寄与分の権利を主張できる者 ■

 法定相続人のみに認められます。内縁の妻、事実上の養子、相続人の配偶者、家政婦などには寄与分は認められません。



 ■ 寄与分を定める時の注意点 ■

 寄与分は、生前どの程度被相続人に対して貢献してきたか、貢献の時期その他一切の事情を考慮し、相続人同士で協議して決めることになっています。寄与分の要件のところで説明しましたが、寄与分が認められるには被相続人の財産の維持・増加につき特別の寄与があることが必要になります。

 ここでいう「特別の寄与」とは、あくまで財産上の効果を伴う寄与のことを指します。単に親族間の常識的な扶養の範囲に含まれる寄与は、特別な寄与とは言えません。被相続人が事業をしてきたが、その事業にともに協力し、事業を成功させ財産が増加したとか、介護費用を何十年も被相続人の代わりに支払って、財産の維持を図った(減少を食い止めた)などが特別な寄与と言えるでしょう。



 ■ 寄与分を定めるのに協議が整わない時 ■

 寄与分について、相続人間で話し合いをしたがお互いの権利主張ばかり先行して協議が整わないときは、やむをえず、家庭裁判所で寄与分を定める審判を申し立てることになります。ただし、家庭裁判所では、遺産分割調停の中でこの寄与分についての紛争を解決するよう求めることが多いようです。