生前対策〜こんな人は遺言書を書いておくべき〜
遺言書を残しておけば、相続人同士の遺産分割協議が不要になるというメリットについて先にお話させていただきましたが、特に次のような方には是非とも遺言書を書くようお勧めいたします。なぜなら次のような方が遺言書を書かないことは大きなリスクになるからです。
○ 結婚して配偶者はいるが、子供がいないケース
<理由>
子供がいなければ、原則自分の親や兄弟が法定相続人に加わるため、手続きの複雑化、相続人数が増える等(一般的に、明治大正昭和初期時代の家族は兄弟が多い、甥姪にも相続権が発生する可能性が高い)の不都合が生じます。自分の配偶者に全財産を相続させたいと思うのが普通であり、余計な相続手続きの手間をかけさせたり、相続人が増えることによる遺産相続争いの危険性を回避することがこのケースでは必要です。
○ 相続人になる人にどうしても相続させたくないケース
<理由>
法律上、相続人になる人は決まっていますので、何らかの理由でどうしても一部の相続人に相続させたくない場合、遺言作成以外に相続人への財産分与を避ける手はありません。
「極道息子には相続させたくない」、「事実上婚姻関係が破綻している配偶者へ財産を分けたくない」などの理由がある方は、すぐにでも遺言を作成し対策をしておくべきです。
○ 相続人になる人がひとりもいないケース
<理由>
法定相続人がひとりもいないのであれば相続される財産はどこにいくのでしょうか?これも法律上定められているのですが、その財産は国庫に帰属されます。
当事務所で扱った事件で、相続人がひとりもいないケースがありましたが、その方は幸いにも遺言書を作成していたため、生前にお世話になった人に財産を譲ることができました。今まで苦労して貯めたお金やその他財産を国にもっていかれるのが嫌な方は、遺言書を作成し、お世話になった方に財産を分けてあげることが望ましいでしょう。
○ 前配偶者との間に子供がいて、現在は再婚をしているケース
<理由>
以前に離婚経験があり、その後再婚した方で前配偶者との間に子供がいる方は、ご本人が亡くなったあとは、現在の配偶者とともに前配偶者との間の子供も相続人になるため、遺産相続争いに巻き込まれる可能性が非常に高いと言えます。
当事務所にご相談される方でこの悩みを持つ方は多いです。こんなケースでは必ず遺言書を作成し、自分の思い通りに、相続させたい方に財産を相続させることが必要です。
○ 内縁の配偶者に相続させたいケース
<理由>
法律上の婚姻関係にない内縁の配偶者は、法律上の相続人とならないため、せっかく長年一緒に連れ添ったのに、相手の死後の財産を一切相続できないことになります。
残される側としてはこのような事態は納得できないでしょう。ただ婚姻届を出していないだけで、このような事態になるのはおかしなことです。そのような方は生前に遺言を作成し、残される配偶者に対して配慮する必要があるでしょう。
○ 民法上の法定相続分で遺産分割させることに不公平が生じるケース
<理由>
民法では被相続人の死亡後、相続人となるべき人がどのくらいの割合で遺産に対して権利を有するかの指標となる法定相続分が定められています。ここでいう法定相続分はあくまで目安に過ぎず、場合によっては、法定相続分で遺産分割することに不公平が生じることもあります。たとえば、被相続人の老後の面倒をみてきた相続人と全く絶縁であった相続人とを同じ相続分としてしまうと、明らかに不公平となります。また、相続人の経済状況や家庭の事情等、遺産分割協議をする際に公平性の判断が難しくなることもあります。民法の大原則にしたがって(遺言は法定相続よりも優先される)、相続人間での話し合いになったときに紛争などで一家が離散してしまうことに不安がある方は、遺言を作成しておいたほうがよいでしょう。

